・新型インフルエンザは、2009年4月、メキシコにおいて、初めて発生が確認されました。しかし、それ以前にアメリカで発生しており、アメリカが発生源と考えられています。
・豚から人に感染し、広まったとの説から、「豚インフルエンザ」とも呼ばれています。基本的にはH1N1のソ連A型であり、一部豚インフルエンザの遺伝子が入り込んだ新しい型のインフルエンザ
と考えられますが、基本的には鳥インフルエンザです。(A型は鳥インフルエンザ、B型はヒトインフルエンザと考えられています。)
・感染経路には飛沫感染と接触感染があります。飛沫感染とは、感染者の咳やくしゃみから放出されたウイルスを吸い込んで起こる感染をいい、接触感染とは、ウイルスが付着したものに触れた
手で眼や鼻、口などにさわり、その粘膜からウイルスが侵入して起こる感染をいいます。多くはは飛沫感染によるものと思われます
・症状は、季節性インフルエンザとほぼ同様で、38℃以上の発熱、鼻汁や鼻詰まり、喉の痛みや咳、関節痛、筋肉痛などがみられます(37度台の微熱のこともあり、元気のよい小児もいます)。
また、下痢、嘔吐などの消化器症状がみられることがあります。ウイルスの潜伏期間は1〜7日間(2〜3日が多い)と言われています。
・全体の死亡率は低いのですが、季節性インフルエンザでは高齢者がなくなることが多いのに対し、新型では小児や青年期、壮年期の方が死亡していて気になるところです。また、早期に肺炎に
かかることも特徴といえます。
・気管支喘息は、肺炎となる確率が一般の人と比べて高く注意が必要です。また小児ではインフルエンザ脳症が時として見られ、要注意です。
・治療は、抗インフルエンザウイルス薬を用いた薬物療法を行います。基本的には、リレンザ(吸入薬)かタミフルを使用します。発症してから48時間以内に投与を開始するのが原則です。
また、抗インフルエンザウイルス薬との因果関係は十分には明らかにされていませんが、小児や未成年者の使用後に異常行動がみられたとの報告もあります(薬を使わなくても、インフルエン
ザ自体でも起きます)。薬を使う使わないにかかわらず、小児や未成年者の場合、使用後2日は一人にさせないなど、患者さんの行動に注意する必要があります。
体調がよくなったからといって自己判断で薬の使用を中止すると、症状の悪化を招く恐れもあり、またウイルスの耐性獲得につながる懸念もあります。5日間はしっかりと抗インフルエンザ薬を
服用しましょう。
< 自分や家族の人が感染した場合>
新型インフルエンザに感染した場合、原則として自宅療養をすることになります。次の点に注意して感染拡大を防ぎましょう。
・自宅で安静に療養しましょう。療養中は、十分な水分補給が大切です。
・患者さんの看護はできるだけ個室で行い、同居している家族が感染するのを防ぎましょう。看護をする際には、使い捨てマスクを着用し、手洗いやうがいを心掛けましょう。
・以下の場合は、入院治療が必要な場合がありますので、医療機関を受診あるいは救急車を要請して下さい。
(1)咳がひどく、呼吸がはやく息苦しい。顔色が悪い(青白い)。唇の色が紫色(チアノーゼ)である…肺炎の疑い
(2)異常行動が15分以上続く、意識が低下してきた。けいれんが治まらない。・・・インフルエンザ脳症の疑い
(3)水分摂取ができず、嘔吐が続く。元気がなく、ぐったりした状態が続く。・・・脱水症、全身状態の悪化、心筋炎の疑い等